東洋医学的人体の見方
人は自然の一部であり、人の中にも自然が存在する。
これは人と自然の関係性についての基本的な考え方となっています。
例えば自然界で、暖かい空気は上に向かい、冷たい空気は下に向かいます。
人間の身体でも上半身はほてりやすく、下半身は冷えやすい傾向があります。
東洋医学ではこのように自然界で起こる現象と人の症状が同じ法則性を持っているとして、病気の診断や治療に利用しています。
この人と自然は一体と考える思想を、天人合一思想または天人相当と言います。
東洋医学では、人体は「気」「血」「水」の三要素が常に体内をめぐって、健康を維持していると考えます。
気:大気や食物などから取り込まれ、身体の正常な働きを保つ生命エネルギー
血:気などから作られ、体内をめぐる血液や、血液で運ばれる栄養分
水:体内を巡る血液以外の水分
この三要素の過不足や、滞りなどでバランスが崩れる事と病気になると考えます。
古代中国の哲学理論に、陰陽学説があります。
あらゆる事を陰(日陰)と陽(日向)という対立する概念で分類し、相互作用などを考えるもので、東洋医学では人体の構造から疾病・治療などすべての領域において基本となる考え方です。
陰:暗い、冷たい、下降する、内向的、静的
陽:明るい、温かい、上昇する、外交的、動的 イメージで分類すると・・・
陽:男、体表、背、上半身
陰:女、体内、腹、下半身 となります。が、固定的ではなく対比なので、
腹でも、表面は陽、内部は陰。さらに臓腑は臓は陰、腑は陽といったように、無限に分類できます。
古代中国の哲学理論には、様々な現象を木・火・土・金・水という五つの性質に分類し関係性を考える五行学説もあります。
東洋医学では五臓(木=肝・火=心・土=脾・金=肺・水=腎)を中心とした分類によって、組織・器官や生体現象の関係性を整理、認識します。
私が時々、「〇色の食べ物を意識して食べてください。」とお話しするのは、この理論から来ています。